2010年3月27日土曜日

ぴあの.2

昨日雨空の梅公園の桜を撮った。今日もグランドへ練習に行く前にちょっと立ち寄ってみる。今日はいい天気、昨日とは別人(花)のような絵が撮れた。

引き続き「ぴあの・2」です。
(※これをお読みになる前に前回の下のブログからどうぞ)

ぴあのが家から忽然と消えた日から一週間ほど経ち、家内の携帯には、彼女の町内での顔の広さから続々とぴあのらしき黒猫を見かけたという通報が相次ぐ。黒猫っていないようでいるものだ。中には隣の区の駅前で見たぞという電話もあったりして、親切心で教えて下さるのではあるが...。
いつものように仕事帰りに懐中電灯と餌を持って今晩も捜査を開始。
マンションの廻りから始めて梅公園方面へ行くのだが、黒いコートに黒い革鞄・黒革靴のオヤジが右手に持つは懐中電灯。駐車場の車の下や、側溝の中、暗い茂みなどに光を当てて「ぴあの」を連呼。怪しいにもほどがあるってものだ。苦労のかい無くいつものように公園へ到着。前述女性のKさんと一緒にノラたちに餌をあげていると、仲間に遅れてひょこひょこ黒い小さな影が....。
ぴあのっ!?
一生懸命話しかけながらそっと近づく。怖がって逃げた。必死に追いかける。ますます逆効果で、あっという間に黒い影は黒い闇の中へ。その後数日間この子を観察してるうちに人違い、いや猫違いだとわかる。ぴあのよりもひと回り小さい子猫だった。私が持って来た餌は、いつも仲間より遅れて食べに来るその子中心にあげるようになった。
一ヶ月近くが経つ。その間動物愛護協会へ電話したり、保健所に連絡をとりこれこれしかじかの猫を保護してませんか?という具合に。三毛猫などと違って黒猫の特徴を第三者に伝えるのは不可能なことに気づく。真っ黒以外個体を特定する特徴がないのだから。家族の中にも諦めムードが漂う。きっと、どこかでノラたちに混じって元気してるよ、とかこういう時は努めて明るい推測しかしたくなくなるもの。心の隅の悲観的観測に誰もが布を被せて。
3月1日。ちょうど一ヶ月。公園通いももうやめよう。
その日の朝は晴天、でも強い風が吹く。司馬遼太郎の「本日晴天なれど濤高し」みたい。家内の携帯がのんびりとした着メロを奏でる。通話を終えた家内が半信半疑の表情で言う。隣のマンションの1階に住む知り合いからで、今目の前に黒猫ちゃんがいるから確認に来てみたらと。多くのガセネタに疲れていた家内に変わり、私は眼の色を変えて外へ飛び出す...。
現場へ到着するとコンクリートの上でぽつんとひとつ黒い影。強風に煽られふらふら揺れて座っている。
感動で泣きそうになった。
いた。間違いなくぴあのだった。
驚くほど痩せて、眼が虚(うつ)ろ、私が近づいても遠くの景色を眺めているような気配。人は極端な苦労をすると人相が変わるというが、猫も同じだった。眼が異様にキツくつり上がり、とてもあの子だとは一瞬思えないほどの形相になっていた。抱きかかえると綿のかたまりを抱いたくらいの量感しかない。
でも、間違いなくぴあのだった。
電話をくれた夫妻に何度も頭を下げて帰路につく。
心の中でぴあのに何度もごめんよと頭を下げながら。
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