2011年4月24日日曜日

学生諸君、頑張れよ!

「今晩一杯やろうか」
「今日あたり一杯どうよ」
筆者は自分から周りに声をかけて飲みに行くタイプではない。ほとんど誘われるタイプなんである。でも昨日ばかりは違った。仕事で蒲田から珍しく直帰コース。帰りの電車路線には友人のUmeちゃんの会社や自宅がある。メールした。
「何してる?忙しい?」 すぐに返信がきた。
「別に」 
彼のメール文章はいつも極端に短い。口が達者で指が太い人はメールを打つのが苦手なのだろうか。でも股間と腹のあいだにベルトを廻してるくらい身体はでっぷりでも、女性にはコマメなのですこぶるモテるんである。昔、クラブなどに行った時、思わずヤツの爪の垢を煎じて水割りに入れて飲もうかと思ったほどだ。気持ち悪いのでやめた。
「これから鵜の木で一杯やろっか?」 すぐに返信がきた。
「鵜の木じゃなく、緑が丘に来て〜。近くに居酒屋だけど可愛い子がいるうまい店があるからさ。蒲田からなら緑が丘は自由が丘乗り換えで、云々.........」
飲みの話になるととたんに文章量が激増するのも彼らしい。飲みに行くのが大好きな彼の赤ら顔が想像出来た。きっと、死にかけた魚が一粒のフリスクを飲んで生き返ったみたいになったに違いない。

緑が丘と言えば自由が丘のとなり、閑静な高級住宅地である。すぐ近くには大岡山の東京工業大学がある。マサチューセッツ工科大学に匹敵するかどうかはともかく、何しろ勉強の出来る理系学生の巣窟なんである。
Umeちゃんに連れられて入った居酒屋には確かに可愛い子がいた。厨房で料理を作るオーナーの娘さんとのこと。Umeちゃんは住宅リフォーム会社の社長で、規模は小さいながら堅実に稼いでいるので、このへんに一軒家を持っているのも頷けるわけだ。彼とは30年近い付き合いになる。
二人で5,6人が座れるテーブルでだいぶ飲んでかなりいい気分になった頃、大学生8人の団体が来た。我々は隣のテーブルに移動し席を空けてあげた。
これがT工大生の面々であった。しかもかなり優秀な。
筆者は根っからの文系で酒と煙草と活字を食べて生きているようなもの。セブン、イレブン、いい気分。微分、積分、どんな気分。サイン・コサイン・タンジェント...ってどんだけ韻を踏めば気が済むのってくらいに、理数系が苦手なんである。隣で飲み始めた8人は学生の飲み会にありがちな、バカ騒ぎするでもなく静かに楽しそうに盛り上がっていた。
ここからが急展開。我々オヤジ二人のテーブルにUmeの奥方さまがやって来たんである。元モデルでスタイル抜群の美人女性と再婚したというのは知っていたが、その奥さんと会うのは今日が初めて。
「初めましてTと申します。今日はあまり僕を酔わせないほうがいいですよ。奥さんの知らないUmeちゃんの過去の遍歴を、酔った勢いでしゃべっちゃうかもしれないですから」 奥さんが言った。
「男はビョーキよね。いくつになってもこればかりは治らないから、しょうがないよね」
この奥さん、デキルやつだなと思った。同時に超教育熱心ママでもあった。
彼女には中3の娘さんがいるらしい。東大生の家庭教師をつけているのだが、娘さんは英語はペラペラでも理数系がとんと苦手なんだそうだ。そこでT工業大生のカテキョを探していたらしい。ほどなく奥さんが隣の8人への猛攻撃が開始された。そのやり取りを聞いていてわかったのは、彼ら8人はほとんど大学院生で、一番年下が現役4年生、最年長は31歳、工学博士で助教をやり結婚もしているF君。どおりで一番落ち着いていると思った。中の一人は今日会社就職の内定をもらったばかりだという。一人だけネクタイをしていたのでなるほど得心した。
院生どうしのネットワークがあるので、家庭教師をやりたいヤツはすぐに見つかりますよという、彼らの言葉を無視した奥さんの絨毯爆撃で生き残り、一人白旗を振ったのがネクタイの彼だった。すぐに携帯のデータを交換し契約成立。娘はメチャ可愛いし、時給はいいし、晩飯付きの「家庭教師バイト豪華3点セット」でまんざらでもないニコニコ顔のネクタイ君であった。

大袈裟に言えばこれからの日本を支えていく最前線で、活躍を期待されている彼らだ。筆者の息子と変わらない年齢でもある。うちの会社にも26歳で子どもがいて、毎日安月給で徹夜の現場をこなし、オトナの社会人として頑張っているヤツもいる。反して院生の彼らは年齢のわりに、薩摩の白波は知っていても、世間の荒波というものをまだ知らないで、一種のバリヤに囲まれて生活しているのかなとフト思った。親に感謝しなきゃだね。
本当に頭が良いかどうかは学業で決まるのではない、というのが筆者の持論。
「学業が優秀」なのと「頭が良い」のは紙一重で違うからだ。
彼らが社会に出た時に初めてその真価を問われると思う。
好感の持てる若い学生との会話でセブンイレブンいい気分になった筆者は、最後に彼らと盛大に乾杯をして「頑張れよ」とエールを送り、やっと電車で帰路についたのであった。
写真はブログ掲載を了承してもらって携帯で撮ったもの。
「立派じゃなくていいから良いオトナになって欲しい...頑張れよ」
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