2015年2月3日火曜日

今ふたたびの「さよなら夏の日」

ちょうど一年前の今日、書いたブログはこれだった。
「慟哭」

いきなりではあるけれど、今朝はある人から届いたメールでつい先ほどまで終日やりとりをした。
そのOさんご本人の承諾を得てほぼ全文を掲載したい。(文責:筆者)
かなりの長文掲載になります。
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テッシーさま
はじめまして。宮崎台バーズOBのOと申します
昨日2月2日は高橋さんの命日でしたので、バーズの仲間たちと故人を偲びました。晴耕雨読でのテッシーさんと高橋さんとのやりとりは、何度も何度も読み返えさせていただいており、楽しそうな高橋さんの笑顔が想い浮かび、読み返すたびに涙が出ます。本当に素敵なブログです。高橋さんの人柄がとてもよく伝わります。2人の息子たちも、元気に育っています。長男は宮中野球部、次男もバーズに入りました。
昨夜は、ブログで知った高橋さんの好きな山下達郎のさよなら夏の日をBGMに夜遅くまで高橋さんの思い出を語り合いました。

これからも晴耕雨読で少年野球の素晴らしさを伝えてください。
楽しみにしています。
突然のメール失礼いたしました。

宮崎台バーズOB O

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Oさん
テッシーことTです。メールありがとうございます。
昨日が命日でしたね。1年前の衝撃と悲しみが今、ありありと蘇ってきます。
故人を偲んでバーズさん仲間で集まったとのこと。
いかにも高橋さんのお人柄がこうしてOさんたちバーズさんの仲間を呼び寄せたようで、読んでいて胸が熱くなりました。

「晴耕雨読」ご愛読ありがとうございます。
あの中で描かれている高橋さんとのメールでの交流などは、一部にしか過ぎず、お父さんの人柄を伝えたくて、全メールのやりとりをプリントアウトしてお母さんと息子さんに届けようと思っていたのですが、亡くなってすぐでは子どもたちには酷だろうという思いと、恥ずかしながらうっかり失念してしまったこともあり、いまだに実現してません。

仕事中たまに達郎の「さよなら夏の日」を聴くのですが、必ず高橋さんのことが想い起こされます。
今日またこれをかけてみようと思い立ちました。

Oさん、メールありがとうございました。
OBになられたそうですが、これからも宮前少年野球をよろしくお願いします。

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Tさま

ご返信いただきありがとうごさいます。
高橋さんが亡くなったことは1年経った今でも信じらず、同じ色のワンボックスカーを見かけたり小学校や第一公園に行ったりすると黒いジャージにバース帽子をかぶり笑顔で手をふる高橋さんが目の前に現れそうな気がしてなりません。
彼とはなぜかウマが合い、会社帰りに飲んだり、自宅に家族を招いたりしてとても親しくさせていただいていました。ピアノや歌を披露してくれたりもしました。
亡くなる1か月くらい前に彼のバンドのコンサートに誘われたのですが都合がつかず行けなかったことが悔まれます。

……中略……。

私たち夫婦も少年野球に夢中で取り組みました。あれほど家族で濃密な時間を過ごせることってなかなかないですよね。本当に素晴らしい時間でした。少年野球は、かけがえのないものを子供にも大人にも与えてくれます。
本当に素晴らしいです。
高橋さんとはいつもこんな話をしていました。

………中略……。

葬儀のあと、高橋さんのお母さんから以下の
ようなお便りをいただきました。しっかりとしたおばあちゃんがいてくれて本当によかったと思います。

豊島さんともどこかでお会いできるとうれしいです。
晴耕雨読これからも楽しみにしています!
今後ともよろしくお願いします。

『筆者註。最後に高橋さんのお母さんからバーズさんへ宛てた手紙の文言が添えられていた。バーズ指導者、父母たちへの心のこもった感謝に満ちあふれる素晴らしい文章。しかしご本人に承諾なしにここに掲載するのは私の本意ではないので残念ながら省略させていただく』


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Oさん
ご返信ありがとうございます。

私の涙腺は歳のせいだけではなく、昔からゆるいので困ってしまうことが多いのですが、
Oさんの文面や高橋さんお母さんの言葉を読んで、またどうしようもなく泣けてしまいました。

一周忌を迎えてブログを、と思ったのですが、いっそ、いかがでしょうか、今日のメールのやりとりを部分的に挿入させていただき掲載したいなと思うのですが。
高橋さんに言及している部分を抜粋し、文脈を損なわない程度に「中略」という形で他を割愛して。

ただ、お母さんの文章は勝手に公には出来ないかなと思いますので、こちらは割愛させていただき。

あのライブは本当に私も行きたかったです。今でも一緒に酒を呑むことが出来なかったことが、本当に残念でなりません。
Oさんのメールを読むと、改めて高橋さんの人柄が滲んできて、彼と仲良くされてきたバーズの皆さんに嫉妬すら覚える始末です。
おっと、決して私はそっち方面じゃあありませんよ。(^-^)

高橋さんとのメールのやりとりの公開は、やはり彼の了解を得て実現したものでした。
故人を偲ぶこともさることながら、高橋さんファンは他チームや連盟にも多くいたはずですから、その方たちにもブログで氏を想い起こしてもらえたらと、今回のメールも是非ご承諾いただけたら嬉しいのですが。
もちろん無理にとは申しませんので、ご一考下さい

追伸。書き忘れました。
「晴耕雨読」を過分に評価いただき大変光栄です。
大谷さんともいつかバーズとの試合とかでお会い出来たらいいですね。
よろしくお願い致します。

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Tさん

ありがとうございます。
私も昔から涙がもろく、息子がバーズで逆転のヒットを打ったことや、負けて悔し涙を流したシーンなどを思い浮かべるだけで、秒殺で涙が出てきます。はい、いまもすでにうるうるです。
Tさんとのメールのやりとりは何か暖かいものを感じとても心地がいいです。高橋さんもきっと同じ気持ちで豊島さんにメールをしていたんだろうな…。

私の拙い文章でよければ、ぜひ。
晴耕雨読に掲載いただけるとは、光栄です。

息子がバーズに入り、監督コーチに叱られてやめたいと泣きわめいたことがありました。夫婦で困り果てどうしようか思案しているとき、偶然新聞のコラムが目にとまりました。
このコラムには痺れました。
そして少年野球を続けようと誓った瞬間でした。
思い出してまた泣いてます。
高橋さんもすごく共感してくれました。Oさん、やっぱりこれですね、なんて言って2人でウルウルしたりして。
テッシーさんにもぜひ読んでいただきたいです。

ではでは。

『読売新聞 朝刊コラム【編集手帳】2009年03月25日 』

通勤の道すがら、中学生の男の子がいる家の前を通る。
ここ数日、ガラス戸に立てかけて野球のグラブが置いてある。中にボールを収め、指の部分をゴムひもで結んでいる◆遠い少年の昔、母親の靴下留めを借り、おろしたてのグラブに使いやすく型をなじませたことを懐かしく思い出した。その家の前を通るたび、何かに似ている…と感じつつ、真珠を抱く貝の姿だと気づいたのは、きのう、テレビ桟敷でのことである◆あれほど苦しみ、のたうつイチロー選手を知らない。第2回WBCの開幕以来、幾度も好機で凡退する姿には誰しも目を疑っただろう。その人が決勝の韓国戦で“ここぞ”の決定打を放ち、日本連覇の偉業を成し遂げる立役者の一人となった◆痛める貝にのみ真珠は宿る、といわれる。体内に入った異物を核にして、真珠は育つ。天才と呼ばれる人でさえ、過ちと悔いを核にして「痛み」のなかから成長することを、赤く潤んだイチロー選手の目に教えられた◆きょうもどこかの空の下で、「へたくそ」の声に傷つき、歯を食いしばって球拾いをする少年がいるだろう。あすの真珠たちに幸あれ。 

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Oさん
ご快諾いただき感謝します!
なんか「類は友を呼ぶ」んでしょうか。Oさんと高橋さんの文章文体がだぶって見えますね。
読売のコラム、途中までの文章で私は全然違う見方をしました。
イチローが出てくることは予想外で、むしろ親子の姿を想像しちゃって。
このへんは「晴耕雨読」にて...。

早ければ今晩にでも書きたいと思います。
ありがとうございます。

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Tさん

類は友を呼ぶ、なんて、嬉しいです。うるうる…。
今朝初めてメールさせていただいたのに、夕方にはいつのまにか親しい友(勝手ながら)のようにやりとりさせていただいて、なんだか幸せです。これが高橋さんもハマったテッシーマジックかな…。

今夜は会社の飲み会。少し早めに切り上げて、いま帰り道。

「駅についたらサンクスで缶ビール2本買うよ。そして第一公園のベンチで、さよなら夏の日をかけよう。高橋さん、一杯付き合ってくれるよな」

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Oさん
第一公園からはもう帰られましたか。
今晩は私も負けずに、会長からもらった「山崎」で。
もったいなので滅多にこれは飲まないのですがね(^-^)
今からブログ書きます。


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Tさん

はい、いま帰りました。
一塁側ベンチで、さよなら夏の日をかけながら寒空の下で、ビール飲みました。間違いなく高橋さんは僕の隣にいました。
今日はテッシーとこんな話しをしたんだよ、楽しかったぜ、3人は何だかつながってるぜ、なんて、話しました。

山崎もいいですね。
テッシーさま、
今度3人で飲みませんか。

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Oさんとのメールはここまで。

ガラス戸に立てかけて野球のグラブが置いてある。中にボールを収め、指の部分をゴムひもで結んでいる。

痛める貝にのみ真珠は宿る、といわれる。体内に入った異物を核にして、真珠は育つ。


Oさんのメールにあった読売のコラムのくだりでは私はこんなことを想像した。
丸い小さなボールをグラブがまあるく優しく包んでいる絵を思い浮かべて。
ボールは子ども。グラブは母の胎内。父という素晴らしい「異物」を吸収し、母は大事に生み育てる。
「子は宝」という。
正に真珠であると思い至った......。

高橋さん。
天から大きな笑顔で見ている高橋さんならすでに知ってると思うけれど、あなたの遺して来た息子たちは今も元気に育っているようですよ。安心して下さい。

あらためてご冥福をお祈りします。


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