2016年9月27日火曜日

QueensVS連合クラブJr

宮前クラブJrと宮前Queensの練習試合なんである。この時期各連合チームは練習試合を多く組んで、来たる川崎大会本番に備えて調整に奔走する。短期で作ったチームで短期決戦に挑むわけだから少しでも多くの試合経験を積みたいところだろう。
Queensにしても川少連秋季大会は今年最後の公式戦とあって、やはり練習試合は願ってもないところだろうか。相手は5年生とはいえ男子チームではあるが、強豪多摩あたりの女子投手は男子顔負けのスピードボールを投げ込んで来るわけで。

両投手の力投で初回が始まる。QはMikuが先発のマウンド。

せっかくなので久々にQ姫たちの先発メンバー全員を載せようではないのよ。
1番Miku,2番Honami,3番主将Ayano,4番Akane,5番Ayaka,6番Sachiko,7番Hinata,8番Rina,9番Yuriko。





今日はスコアラーKitamatsu母はヤングに行っており、Sashiki母が代打でペンを執った。途中また用事が出来て代打の代打で28番コーチKurashigeさんがスコアラーをやったんであった。筆者写真を撮りまくってベンチに行き、途中見るに見かねて筆者がスコアラーを買って出たんである。Queensでスコアをつけるのは初めての経験なんであった。
Queensベンチの面々。なかなかこんなに奇麗なパースペクティブ(遠近法)を描いてベンチスタッフを撮れることはないんである。

対するは5年生連合宮前クラブJr。監督はHirataさん。そして連盟からの要請により29番コーチには有馬フレンズ監督、まだ31のItohが入ったんである。彼も少年野球指導者として勉強になるからと快諾したんであった。28番コーチはOhtsukaさん。

以下スナップを数点。



試合は連合の圧勝。今年の投手陣は層が厚く、打っては強い打球を遠くまで持って行ける子が何人もいるようだ。期待出来るわけで。
Queens姫も男子連合に負けても当然と思わずに、勝ちに行くための覇気と強い意志を持って秋季に向かって頑張って欲しい。今のQならば出来るはずだ。

さてこのあと昼食前にお遊びで大縄飛びなんである。
先ほどまでの鬱屈した空気はどこへやら、みんな嬉々としてジャンプする。これがびっくりするほど上手い。なかなか全員で長いこと、連続で失敗なしで跳ぶことは難しいと思うのだが、やっちゃうんである。チームワークだけは連合に負けないのだった。


このあとQは午後みっちり練習。連合クラブJrは第一公園ドームで花の台フラワーズで練習試合の連戦に臨むことになる。
また次回なんである。

蛇足Part2なんである。
前回ブログ末尾に「日本三大名園」を書いて、ついでに「日本三景」はどーよ?で終わった。答えは言わずもがなではあるけれど、
「宮城松島」「広島宮島」「京都天橋立」なんである。
最初のふたつは行ったことがあるけれど天橋立(あまのはしだて)は未だ見聞しておらず。
また「日本三大名園」のひとつ金沢兼六園も二十代の頃行ったことがある。仕事があって当時の会社の先輩が持っていた、ペラペラの二人乗りの真っ黄色のオープンカーで行ったんである。若いというのは恐ろしいものだ。今ならさほど親しくもない先輩とツーシーターの狭いクルマで長時間移動だなんて、絶対拒否しちゃうだろう。
金沢は小説の永山希伊の生まれた地でもあるわけで。
若い頃の記憶は薄れるし、頭のてっぺんも薄れてくる今日この頃、もう一度金沢へ行ってみたいと思うのであったが、現実はそうは問屋が卸さない。

しかし、現実は不可能でも、現実を無視して実現出来ちゃうのが小説なんである。
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2016年9月26日月曜日

ふたつの祝福

日曜はいろいろあったんである。
Queens監督Koshimizuさんの新店がついにOPENし、タイムLINEなどで写真がアップされた。いつか落ち着いた頃Queensメンバーこぞって「輿」へ襲撃予定なので詳細はその時に譲りたい。Q母会会長Imanishiさんが中心になってQからお祝いに暖簾を贈ったんであった。和洋折衷のなかなか素敵な暖簾になった。

もうひとつおめでたい話。
宮前区には有馬中学がある。フレンズやヤングの地元の中学なんである。筆者の息子娘もこの学び舎(や)を卒業した。息子が有馬中野球部の頃は三年生の時にピッチャーをやっていたけれど、弱小チームのDNAを受け継ぎ勝率は悪かったようだった。ようだった、というのは筆者はその頃息子の中学野球にはほとんど行ったことがなく、フレンズにどっぷり浸り切っていたからであった。クルマを持っていないことも災いしたんである。あの時代はうちだけじゃなく、親が中学部活の追っかけをやるのは、どこか恥ずかしい思いがあったんである。「子離れ出来ない親」というレッテルを貼られることに抵抗があったのだった。子どもたちも親が観にくるのを嫌がる風潮があったかもしれない。息子がそうだった。まるで授業参観に親が来て悪目立ちするのを嫌がるように。
しかし時代は変わったんである。
時代の趨勢(すうせい)というものだろうか。中学部活にも親が観戦に行くことが当たり前になった。むしろ学童野球の延長線上にあって熱くなれる三年間なのだろう。
そして有馬中野球部はその後徐々に強くなり、今では川崎でも強豪の称号を欲しいままにしている。去年も含めて特にここ数年その活躍は目覚ましく、今年の昨日の日曜についにやったんであった。
新人戦、つまりは来期の新チームで神奈川県大会を制して優勝したんである。
複数人の関係者の話によると、このあと関東大会があってそこで一勝すればなんと全国大会出場の切符を手にするのだ。アッパレ以外の何者でもない。張本でもアッパレシールをあげちゃうに違いない。有馬中野球部にはヤングからKurashigeさん息子含めて三人、フレンズからは大勢のOB野郎どもが野球部に在籍している。
是非上の、更にそのまた上を目指してテッペンを獲って欲しい。
以下、Natsuki母のグループLINEにアップされた写真を。懐かしい面々ではある。
なっちゃんは号泣だったそうだ。その写真をKurashige母に見せてもらった。

この日曜はこれを皮切りに午前はQueensVS宮前クラブJrの練習試合。
午後は宮前クラブJrVS花の台フラワーズの練習試合。
夜はQueens秋季大会の壮行会兼飲みの懇親会。
この日曜三大ブログネタはまた後日なんである。膨大な写真枚数なんであるからして、今回はパスしたい。
蛇足ではあるけれど、日本三大庭園は?
「金沢兼六園」「水戸偕楽園」「岡山後楽園」なんであった。
ほっほう。ならば日本三景は?
こういうことは知らなくても恥ずかしいことではないけれど、
こういうことを知っていれば人生ちょっぴり楽しくなるのは間違いない。
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2016年9月22日木曜日

小説「月に雨降る」25

家政婦が龍一のためのコーヒーと奈津子の紅茶を持って来た。器はロイヤルコペンハーゲンだった。家政婦の女性が龍一のことをちらちらと盗み見ているような視線を感じ、居心地の悪さが倍増した。
龍一はここまで来た来意を話した。順を追って希伊との出会いから、二週間前の晩に聞いた出自のことも含め突然姿を消したことまでを。これらを簡潔に要約して話すのはとても困難だった。言葉を慎重に選んだつもりだったが、うまく言えたかどうかは自信がなかった。その間、奈津子は黙って姿勢を正して聞いていた。
龍一はちいさく「いただきます」と言ってコーヒーをひと口啜り、そして最後に言った。
「僕は希伊から聞いているあなたたちの仕打ち、いや、仕打ちなんていう表現が正しいかどうか第三者の自分には分かりませんが、今ここでそれを問題にするつもりもなければ、それを糾弾する権利は僕にはありません。僕は希伊を探しています。居所を知りたくてここへ来ました。ただそれだけです。ご存知でしたら教えていただきたいのです」
ひと通り龍一の話を黙って聞いていた奈津子がやっと口を開いた。まるで独り言をつぶやくように、低い声で言い放った。
「やはりね。蛙の子は蛙ね」

蛙の子は蛙?
龍一には一瞬意味が解せなかった。
「どういうことですか?」
それには答えず奈津子は続けた。
「あの子には親として最大限のことをしてあげたのよ。普通の親の何倍も何十倍もね。最高の教育環境と何不自由ない生活環境を与えて。それをこんな形で裏切られるとは思ってもみなかったわ。家出をして一人暮らしをした挙げ句に、あなたのような人と同棲するなんて」
龍一は世間から見ればまだ若造の部類だったが、一瞬にしてこの女の正体を垣間みた気がした。若造でも人を見る目は持っているつもりだった。根拠のない自信があった。自分の心のエンジンに火が入った音が聞こえた。
「親として最大限のこと?あなたは何か大きな勘違いをしてませんか。子どもに最大限に与えるべきことは、金とか教育の前に親としての唯一無二の子への愛情でしょう」
声が上ずるのが自分にも分かった。
「そうやってすぐ熱くなるところ、あの子に似てるわね。そういう意味ではお似合いのカップルねえ。まだお若いからかしら」
お望みどおりいくらでも熱くなってやろうじゃないか。
「それに裏切られたとおっしゃいましたが、全く逆でしょう。あなたたち偽の親に裏切られたのが希伊のほうだろ。なんでそんなことが分かってないんだ」
「なんとでもおっしゃい。そろそろ化けの皮が剥がれてきたようね、神島さん。言葉遣いも乱暴になって、やはりあなたも所詮蛙の子は蛙ってことよ」
アクセルを踏み込む。増幅したエギゾーストノートが聞こえた。
「蛙の子は蛙か。凡人の子どもは所詮凡人。そうだよ、俺は高知の田舎の果物屋の息子で筋金入りの凡人さ。世界一希伊のことを大事に思っている日本一の凡人なんだよ」
「激高しているのに面白いことを言うわね、あなた。最初に言った蛙の子の例えは、あの子のことよ。いくら優秀な子に育てたつもりでも、結局は永山家の血筋ではなく他人の子。確か北陸の小さな土建屋さん?建築屋さんだったかしら、そこの孤児だったのよねえ。うちが里親になっていなかったら、あの子は天涯孤独の身。私は最初から反対だったのに、主人に強引に押し付けられて」
思わず立ち上がって声を荒げた。
「その話は希伊から聞いた。もうやめてくれ。反吐が出そうになる。あんたらそれでも人間か」
常に上からの目線で他人を見下ろし、自分の人としての過ちを全く認めようとせず、高慢で傲慢な態度に龍一は本当に気分が悪くなって吐きそうになった。しばらく無言の空気が広い部屋を支配した。大きく肩で息をしながら冷静になってみると、この人は救いようのない深い涸れた井戸のような世界にいる、孤独な住人なのではないか。この人も自分には知るべくもない冷徹な環境で育ったのではないのだろうか。そう思い至ったところで自分でも驚くくらい気の毒に思うようになった。自分を見上げる奈津子の目を見て言った。
「最大の皮肉を込めて言わせてもらいますけど、あなたは可哀想な人ですね」
それまで冷たい目をしていた奈津子の顔に一瞬色が射し、血相を変えて立ち上がった。
「なんですって。もう一度言ってごらんなさい。ただじゃすまな...」
予想外だったが奈津子は龍一に対しすかさず手を挙げようとした。すぐにその手を引っ込めたのだがその手慣れたふうの挙動を龍一は見逃さなかった。閃くものがあった。もしやそういうことか。半信半疑でカマを掛けてみる。
「今振り挙げた右手で幼い頃の希伊を何回殴ったんですか。顔ですか。それとも他人には分からないように背中とか腹とかですか。アザが出来るくらいに。おそらく高学歴であろうあなたには、それをなんて言うか知ってますよね。...幼児虐待」

カッと見開いた目で龍一を見つめた奈津子はそれまでの高慢な態度から一転し、腰を折ってうつむき背中を震わせはじめた。
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2016年9月19日月曜日

小説「月に雨降る」24

「おまえの親に、いや、育ての親に会って対決してくるかんな。待ってろよ」
サチコを希伊とだぶらせて擬人化している龍一は、サチコの頭を撫でてそう言うと家を出た。しかし実はそのように言葉に出して言ってみることで、自分を鼓舞し奮い立たせるためもあったのだった。中野坂上から丸ノ内線で新宿へ出て山手線に乗り換え渋谷へ向かい、更に東横線で自由が丘を目指した。希伊と一緒に住んでいるころ実家の大まかな場所は聞いて知っていた。自由が丘の駅から奥沢方向へ五分ほど歩いたところに奥沢神社があった。鳥居に太縄で作った大蛇が巻き付いてまるで龍のようだと希伊が言っていたのを思い出す。『龍一の龍みたいだけど、目玉がめっちゃデカくって不細工なのに、なんか愛嬌があるんだよね』鳥居を見上げながら龍一は確かにその通りだと思った。知らない人が見たら大蛇を模したというより、龍を想像するかもしれない。
神社を右折して閑静な住宅街に入り幾度か角を曲がると、間もなくそれと分かる屋敷が見えてきた。希伊は実家や親のことをあまり話したがらない風(ふう)があったが、実際その屋敷の前に立つと思わず圧倒された。高い塀に囲まれて植栽の樹々の梢の向こうに三階建ての要塞のようなどしりとした家、というより建造物があった。グレーに光る鈍色(にびいろ)のタイルで鎧のように身をまとったそれは単一家族の住む家の匂いはなく、まるで数世帯が居住する小規模の高級マンションのような様相を呈していた。門柱にはしっかりと「永山」の重厚な表札が掲げられ、鋳鉄(ちゅうてつ)の堅牢な門扉の脇には、あたかも龍一の足元を見透かし睨むように監視カメラの冷たいレンズが光っている。龍一は想像以上の居丈高なその威容にいささかひるんでしまった。あの庶民的で愛嬌のある希伊が、こんな家で育ったのかと妙な感慨まで覚えたほどだった。
勇気を奮い起こしインターホンを押した。ほどなくして、はいどちら様ですかと、機械を通した中年女性の硬く乾いた声が聞こえた。
「私は神島と申します。永山さんにお会いしたく参りました」
一瞬の間を置いて事務的な返事が返ってきた。
「どちらのカミシマ様でしょうか。お約束はございますでしょうか」
龍一はどう言ったものか迷った。
「私はこちらのお宅の娘さん、希伊さんと懇意にしている者で...」
通り一遍の説明をしたところで相手にされないと考えて思い切って言ってみた。
「いえ、はっきり申し上げますと希伊さんと数年間一緒に暮らしていた者です」
インターホンを通じて言葉が電気信号に変換され向こうに衝撃波が伝わったようだった。微かに息をのむ気配があり、逡巡したのちに向こうの声が返って来た。その声は最初の声色(こわいろ)と違い微妙に柔らかく変化したように思えた。
「カミシマ様ですね。奥様にお伝えしますので、そのまましばらくお待ち下さいませ」
ずいぶん待たされたように思えた。五分にも十分にも感じられた。無性に煙草が吸いたくなったが我慢した。その間龍一は十月の晴れた青空を渡る風に、色づき始めた樹々の赤や黄色の葉が揺れるのをぼうっと眺めていた。俺はここでいったい何をしているんだろう。いい加減踵(きびす)を返そうかと思った時に、目の前の重厚なアイアンレースの門扉が自動でごとごと開き始めた。敷地内に足を踏み入れて玄関へ向かった。ここはまるで江戸時代の武家屋敷か豪商か何かの跡地で、数寄屋の広大な庭だけを残して家だけを近代建築で新築したみたいに思えた。昔このあたりまで武家屋敷があったものかどうかは知らないが、世田谷城に関係して奥沢城という城があったことは知っている。高校時代に高知の古い建築物と日本庭園をいくつも見て来た龍一は直感的にそんな想像をしてみた。それはまるで手つかずの大自然に突然舞い降りて来た銀色の宇宙船のように大きな違和感があった。
玄関の呼び鈴を鳴らすとすぐに待っていたようにドアが開けられた。そこにはごく普通の中年女性が立っていた。聡明そうな顔立ちに幾分戸惑いの色を隠せない表情をしていた。たぶん先ほどの家政婦なのだろうと思った。彼女の案内で屋敷の中へ入り、いくつかのドアを開けてたどり着いた部屋の豪奢な黒革張りのソファには、五十がらみの女性が座っていた。家政婦が龍一の来訪を告げるとその母親らしき女性はすっと立上がり、正面から龍一と正対した。希伊が言っていたとおり、希伊とは似ても似つかぬ容貌だった。若い頃はさぞかし美人だったろうと思われる容姿で長身で手足が細長く、しかし必要以上に塗り固めた濃すぎる化粧が気になった。さざ波のように寄る年波を厚化粧の堅牢な防波堤でせき止めているような印象を与えた。女性ならば仕方のないことなのかもしれないが、この人の場合は厚い鎧を身にまとうことで、自らその殻の中に閉じこもっているような気がした。
「初めまして、神島龍一と申します。今日はアポイントもなく突然にすみません」
こんな場で名刺を差し出すべきかどうか迷ったが会社の名刺を渡した。肩書きはやっと「設計部主任」だった。主任と言っても入社3年目の自分の下に部下はいない。
その女性は龍一を下から上まで検分するような目で見た。まるで厳格な女性教師が中学生の服装検査をするみたいに。出がけにジーンズをやめてコットンパンツにはき替え少しは気を遣ったつもりだった。そろそろ毛玉が付き始めた靴下を履いてきたのを少し後悔した。
「神島さんですね。永山奈津子です。どうぞお座り下さい。」

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南極シロクマ北極ペンギン

久々のスコアラーであり、お久しぶりのオレンジボール大会なんであった。
フレンズはここまで一勝一敗、今日の対戦はバーズと並び強豪と聞いている花の台フラワーズ。オレンジボール(3年生以下)大会は小さい子に野球の楽しさを体験してもらうことが最大の主旨。勝敗は二の次....と言ってもやはり勝ちたいわけである。打者走者が塁に出れば、初球から自動的に盗塁は当たり前田のクラッカーであり、盗塁成功率はほぼ90%以上だろうか。逆に守備面ではバッテリーが一番重要なのはAチームと同じだが、オレンジでは一塁手の送球をいかに取りこぼさず捕球出来るかが肝要になる。後逸すれば走者はじゃかすか溜まり、あっという間に失点しちゃうからである。打ちに打って勝ったり、鉄壁の守りで勝利したりという試合はそうそうないのがオレンジなんである。もしオレンジで6-4-3のダブルプレーなんか出ちゃったら、驚天動地、慇天動地、震地動天、震天動地、世の中を揺るがす大事件なんである。(※驚天動地の類語を一所懸命調べた)
もうひとつの特徴は、定位置で凡フライを捕っただけで親たちから大歓声が涌き起こり、ボテボテのゴロのヒットを打っただけで、割れんばかりの大拍手を浴びるのがオレンジなんであった。

先発はHF、Kitazawaくん、AFはKakeno監督の息子K.Kaito。両投手ともなかなかの良い速球を持っている。初回HFはクリーンアップに二本の安打が出て3点先制。
その裏AFも先頭Kenzohが三遊間の安打などで2点を返す展開。
※写真はiPhoneで撮った。アップで撮ったらピントも甘く粒子もザラザラ。
因に少年野球といえどもベンチに携帯やPCやカメラなどの電子機器を持ち込んではいけない。昨年の全国大会で嫌というほど思い知らされたわけで。(携帯は電源を切るだけではダメで持ち込みそのものが禁止されている)
このiPhoneの写真は筆者から別人格が幽体離脱してまるでドローンのように撮ったものであるからして、筆者にはなんら責任はないんである。

2回裏AFはKitazawaくんの力投の前に無安打ながら、1点をもぎ取り3:3の同点にす。AFの親たちはもう大騒ぎなんであった。
試合は終始小雨そぼ降る悪天候にて開催。
28番Nakamuraオヤジが子らに叫ぶ「もっと声を出せえ〜」
一番声を出しているのが親たちである。
更にNakamuraオヤジが子らに叫ぶ「もっと盛り上げろ〜」
一番盛り上がっているのが親たちである。

3回表HFは安打に加えて四球、失策に乗じて一挙4点と差を広げた。さすがは強豪である。7:3。その裏AFの攻撃が終わればタイムアップ、4点差で最後の攻撃を迎える。
先頭打者のHideakiがやってくれちゃったんである。ワンストライクからの二球目を強振すると打球は大きな放物線を描いて雨天を切り裂き、中堅手の頭上を越えてそのまま赤いコーンの向こうの五万の大観衆が待つスタンドへ突き刺さった。一矢報いる文句なしのホームラン。6年Aチームでもなかなかあそこまで飛ばせる打者は少ないはずだ。面目躍如、さすがスーパー3年生の異名を取るだけのことはある。
この本塁打で勢いに乗ったか、無安打であれよあれよと言う間に同点、一死満塁からWPにてサヨナラゲームとなった。HFは意気消沈、悔しがっていた。チカラはHFが上だったと思うのだが、ひとつ間違えばウチが同じ轍を踏む可能性だって大いにあった。
大逆転勝利に普段我が子の試合での姿を見れない親たちは大喜び、まるで県大会で優勝しちゃったような感動のゲームだったようだ。地球がひっくり返って南極をシロクマが闊歩し、北極にペンギンが群れるような状態だった。
と思えば勝ったのか負けたのか分からないまま、キョトンとしている子もいたりする。
これがオレンジなんである。
オレンジは毎年そうだけれど、それにしても親たちの応援はややもすると、Aの試合を凌駕して余りあるものがある。小さい子どもたちの一挙手一投足にきゅんきゅん、ぎゃんぎゃん、わんわん、ぎゃあぎゃあ。しかしこれがオレンジの楽しい一面でもあり、醍醐味でもあるんである。
久しぶりにベンチ席でスコアをつけて、鼓膜が破れるかと思った。
マラソン界には「心臓破りの坂」が存在するが、
オレンジ界には「鼓膜破りの席」というものが存在するんであった。


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