2011年9月14日水曜日

遠い記憶

「エ〜〜〜ッ、サッサア〜、エッサッサ〜!」
川崎市有馬中学校体育祭での男子生徒の名物演技「エッサッサ」である。
その昔日体大の大学生から伝授された伝統の演技である。

先日の土曜仕事を早めに終え、練習のグランドへ行く前に歩いて3分の有馬中学体育祭に寄ってみた。この一週間ほど体育祭の練習を盛んにやっていた模様。フレンズを卒業した子たちの何人かをちょっと見てやろうと思ったわけで。昔と違い入場者名簿に記入し、持参のカメラの申請も済まし校庭へ。子どもって体操着を着るとなんでこうも皆同じに見えてしまうのか。視力の悪さも手伝って誰が誰だかさっぱりわからんちゅうに。20年ほど前、幼稚園の運動会の徒競走の時に我が子をビデオに撮ろうとしても、遠くからだと他の子と全く判別がつかず、直感で我が子をレンズで追いかけ撮ったはいいものの、だんだん近づいてきた子は全くの他人だった...なんて記憶が蘇る。

運動会と侮るなかれ、筆者は男子の騎馬戦とリレーを見るのが大好きだ。単純に興奮するんである。自分の中学高校時代を想い出すせいもあるのか、アドレナリンが胸のあたりからふつふつと沸き上っちゃうのだ。逆に今もし、やれと言われてやりたくないのは「パン喰い競争」1位になるには日頃の仮面を脱ぎ捨てて、もの凄い形相で大口を開けパンに喰らいつかねばならぬ。逆に不幸にも最後までパンを喰いちぎれずに、後ろ手に紐で拘束された挙げ句、喰いたくもないアンパン相手にオタオタすれば、周りの失笑とも嘲笑ともつかないビミョーな笑いに囲まれながら、あろうことか係員にパンをくわえさせてもらい、無人のトラックを熱の冷めたゴール目指してヨロヨロ走らねばならぬ。こんな屈辱はないわけで。(故意に極端な論理を展開させましたでありまする(^^))

さて、中学校体育祭である。
男子組み体操も見応えあったけれど、昔と比べてどこか「真摯な気概」とでも言うべきものが感じられないと思ったのは、筆者が歳をくったせいだろうか。先の半ば伝統芸能保存的な「エッサッサ」も然り。筆者の息子の時代には男子全員のかけ声だけでも鳥肌立つような感動を覚えた記憶があるけれど。


遠い記憶。
息子が3年の時の体育祭。「エッサッサ」で朝礼台に登り指揮をとるのは全校男子生徒のリーダーたる証でもあり名誉でもある。その年のリーダーは、当時シニアで活躍していた鷺沼ヤングホークス出身の高井雄平くん。のちにヤクルト指名でプロ入りを果たした子である。一糸乱れぬ演技と中学生男子独特の大人になりかけオトコの大音声(だいおんじょう)が校庭に響き渡る。

雨だった。最後の男子リレーが始まった。
息子のJunnosukeは野球部でアンカーを務める。スタートの号砲。ぬかるみに足を取られながらも白熱の展開。Jの前の走者が不幸にも転倒。前のランナーとの距離がどんどん開く一方だ。やっとJにバトンタッチ。すでに勝負は終わっている。残り半周で誰もいない無人のトラックをそぼ降る雨と泥にまみれてひとり独走する。静かな衆人環視のもと自然と温かいがんばれの拍手がわき起こる。
最後の直線コース。息子Jは勝負を捨ててそれまでゆっくり走っていたのだが、ゴール間近で突然猛ダッシュにシフトチェンジ。
最後は泥のゴールにヘッドスライディングを敢行。すぐにすっくと立上がり、両手を天にかかげ、ヤツはあろうことかグリコのポーズを取りやがった。
会場は爆笑と拍手の嵐。
パン喰い競争のような屈辱を自分の胸の内で反転させ、逆に周りを味方につけるスキルというよりセンス。
大バカ野郎の息子だったが、父親としてちょっぴり誇らしげな気分であった。
今日は「遠い記憶」の話でした。
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2011年9月12日月曜日

母は楽しい洗濯

高津クラブドジャース杯。毎年この時期参加している大会である。試合会場は多摩川河川敷、諏訪第二球場。近くの河原ではニコタマ名物BBQ大会の群れ。駐車場がすし詰め状態パンパンである。満車表示の看板を尻目に監督号と筆者のTaguchi号は、近隣のコインパークへ。Satoh監督、子どもらと談笑しながら駐車場からトコトコ歩き土手へと上がった。
ふむむ?...なんか違うぞ。かの有名な都内最後の大規模再開発と言われるプロジェクトのひとつ、二子玉川サンライズの超高層超高級マンション棟。去年ここの小さなショップの仕事をしたことがある。確か3棟建ったと思うが、えっ!?1棟消えてしまっているじゃあありませんか!?去年このブログで多摩川に松井ゴジラを登場させたので、ヤツの仕業か?

偶然四角い物体の死角に隠れて視覚トリックが形成されたんである。
こういう日常のオモシロフシギ大好きな筆者なんである(^^)

試合会場のグランドの隣りは川崎北リトルシニアのホームグランド。
近年うちの卒業生が多数お世話になっているシニアである。その通称「川北」の試合が開催されていた。正式なユニフォームを着てないから練習試合かなと思いきや、母たちがマイクでウグイス嬢(?)のアナウンスをしてたりして。(※母たちを「嬢」と表現して良いかどうかは筆者の文章責任の範疇を超えているのであしからず。)ヘルメには高校野球のステッカーやオールジャパンのシール。先週違うチームに訊いたところによると、例の大雨台風で河川氾濫、グランドは冠水したとのこと。そのせいかいつもより内野の土部分がいつもよりすり鉢状に陥没状態になってるみたいだ。この境目に打球がバウンドしたら異常なイレギュラーバウンドになるだろうな...。

2回戦対戦相手は「下小田中第一武蔵野球部」というフレンズ対戦史上最も漢字の画数の多いチームである。これだけでも侮れないわけで。試合後の円陣で相手へエールを送る際に「フレフレ、しもおだなかっ!」にするか「フレフレ、だいいちむさしっ!」にするか、早速悩んでしまった。しかし少なくとも「フレフレ、しもおだなかだいいちむさしやきゅうぶっ、フレフレ、しもおだなかだいいちむさしやきゅうぶっ...」だけはあり得ないなと得心した筆者ではある。

前置きが長くなるのは最近のこの小ブログの悪いところ。
本題にイク前にすでに体力消耗しちゃうから、初志貫徹出来ずに後半はサックリアッサリ、イッてしまうのである。(※「題」を「番」に読み替えればニンマリ心当たりのある諸兄も多いのでは?...良い子のみんなと良妻賢母を自認の方はこの文章、頬を赤らめながら読み飛ばすようにお願いします)

試合の総括は11:10の勝ち。失点も多いけれどナイスゲームと言っても過言ではないだろう。この時季ではあるし。
全国の河川敷球場の常で本塁打が出やすいのは仕方ない。条件はお互い同じであるし。この試合ナント両チーム合わせて5本のホームランが記録された。本塁打の価値が下がるけれど、記録は記録。
3失点ビハインドの1回裏、うちの攻撃。先頭打者の副将Teruがいきなり3塁線を強襲安打のランニングホームラン。すかさず監督に相談「今の打撃どーする?3塁手失策か、あるいはもし安打にするならイコール本塁打になっちゃうけど」
「...3塁手触ってないから...安打でホームランにしちゃいましょう」
代表はじめ監督、コーチ皆の最近のTeruへの「眠れる獅子」を起こしたくて仕方がない思いが本塁打の記録となった。
その彼、3回の二死走者3塁の場面で初回グレーゾーンのホームラン記録を完璧に払拭するツーランホームランを放った。今度は文句なしの左中間オーバー。1試合で同選手の2本塁打もたぶんフレンズ史上初かな。


1-6-3のTeru,Oto,OnoのゲッツーWプレーあり、優位で迎えた最終回11:7の場面、先頭打者がヒットで出塁するも、3塁線ファウルフライをI.Takumiがダッシュ、ギリでダイビングキャッチなど、随所に好守も見られナイスゲーム。後日泥だらけの息子のユニフォームを洗う母たちは、きっといつになく楽しい洗濯になるはずだ。
ベストプレイヤーはTeru、Oto、Inoueの3選手。待てよ、Taguchiの3打数3安打、全て右中間の全く同じ地点へ放った打撃も素晴らしかった。車中Taguchi母が息子に「見逃し三振だけは勘弁してよっ!」との言葉を跳ね返す活躍。結果年末のアメ横の大盤振る舞いよろしく、4名も選出。

試合終了後、円陣を組み主将のNabeが笑顔で訊いてきた。
「Tコーチ、相手チーム名はなんて言えばいいっすか?」
「おお、うむむ、...シモオダナカで!」
一拍置いて...
「フレフレ、しもおだ⌘⁂♥♨☀◒あ〜!」
「フレフレ、しも♤※♬〠♣㎡≅あ〜!」
「フレフレ、しĂΦ㈱ⓥ〓☃♨〒〜〜....」
試合内容とは真逆にカミカミのグダグダで終わったエール交換であった。
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2011年9月10日土曜日

ハーゲンダッツとガリガリくん

明日の日ハム対東北楽天が面白そうだ。ハンカチ王子斉藤裕紀と神の子田中将大の対決なんである。数年前の甲子園の激闘が瞼に蘇る。視点を変えて見れば、王子は王様の子ども、神の子は神様の子ども。さすれば王より神のほうがエライのは明々白々、火を見るよりも明らか。ならば...とはいかないのがスポーツの世界。何が起こるかわからないのが勝負の面白いところ。個人的にはプロでの経験値の豊富さと泥臭い闘志を持つマーくんに軍配を挙げてやりたい。スマートでハンサムな斉藤くんは「何か持っている」と言われるように、持って生まれたモノを持っているから努々(ゆめゆめ)予断を許さないが、持ってるのは結局仲間とハンカチ1枚だったりして。
誤解を怖れず例えるならば、セレブ女子に人気のハーゲンダッツVS庶民男子に人気のガリガリくんみたいなものだ。

宮前連盟の20周年記念誌を作っている。表紙などのビジュアルなメインページを数ページをデザイン。最後の大仕事、筆者には分不相応にも「詩歌」を作るページが残っている。構想はあるものの、まだ最初の具体的な言葉が浮かばず暗中模索・五里霧中。でもはっきり断言しちゃう。この記念誌は日本少年野球記念誌史上に残る歴史的快挙になるに違いない。クオリティーの高さは保証付き。おっと勘違いしないでいただきたい。自信があるのは筆者が絡んだからという理由ではない。ここにチョイチョイ登場する通称「社長」と「編集長」と「師匠」の存在が大きいことと、記念誌プロジェクト全員のチームワークが抜群だからである。
「社長」は泣く子も笑う、言わずと知れたKasahara氏。口も出すけど金も出すという企業経営者的感覚の優れた、直球勝負の宮前連盟の重鎮。女子野球Queensの代表でもある。今度のBBQ大会が楽しみだ。
「編集長」は連盟事務局の宝物、言わなければわからないNishimura氏。この人の存在がなければ今回の記念誌は全く無いに等しい。某有名出版社N社勤務のプロ中のプロ。予算の策定から適材適所のスタッフ配置、テキストデータの一文字の誤植まで見逃さない、微に入り細にわたる視点と全体の統制力も抜群。ディレクターというよりプロデューサーか。ありがたいことにこの小ブログのヘビーローテの読者でもある。氏の存在なくしてこの記念誌は語れまい。
「師匠」は中年イケメンのクールガイ、言わなくても知っている人は知っている、プロはだしのカメラマン。記念誌の多くの写真は師匠の手によるもの。小生のデザインで表紙や裏表紙の写真を期待以上の品質で撮ってもらった。若い頃はCanonの一眼をダッシュボードに、素敵な女性を助手席に、深夜の高速を横浜へ向けてBMを駆っ飛ばしたに違いない(あくまで想像)
そしてプロジェクトメンバーの面々。地道でも確実に仕事をしていただいている。「みんなの力でいいものを作ろう」と言う言葉はこのメンバーのためにある。

こんな記念誌プロジェクトにはML(メーリングリスト)という双方向の連絡網がある。うちのフレンズでも使っているし、もしや全国のこのブログをご覧の方たちも重宝しているのでは?3週間ほど前メンバーの松風スラッガーズHigoさんの奥さんからこんなメールが全員にきた。(※多少抜粋、省略、編集、文責は筆者)
「Queensの女子はハーゲンダッツを食べているのに、なんでボクの5年生連合チームはアイスがないの?...と息子Poが言った。私はすかさず「じゃあ、ハーゲンダッツとガリガリくんならどっちが食べたい?」と訊いた。Poは迷わず目がキラ〜ン、キッパリと「ガリガリくんでしょっっ!」明日みんなにガリガリくんを買ってあげようかしらと思っている松風ママです。Nishimuraさまエクセルデータを送付いたしました。云々.....後略」
筆者、素晴らしいメールに大笑いののちに感動すら覚えたのは言うまでもない。

さて今日の出来事なんである。テレ朝「タモリ倶楽部」までまだ時間があるので、もそっと書いちゃうのだ。
夕方運動不足解消のためもあり、仕事の合間にMacをブチリと切って歩いて10分ほどのキューズマへてこてこ買い物。オーマイのペペロンチーノソースやキリンの「濃い味」なんぞを物色していると、後ろから声をかけられた。「Teshimaコーチ、こんちはっ!」我がチームのTakumi(Inoue)だった。羨ましいことに妹をはじめ女子連合を引き連れているではないか。ん?引き連れて来たのか、女子に引きずられて来たのかはわからないけれど。
小生買い物の会計を済ますと、アイス売場を一瞥し再びTakumiのところへ。
「全部で何人いるんだ?」
「いちにーさんしー、.....6人です」
「おし、アイスでも喰うか」
一斉に女子たちが「いや、いいです、いいです」とKARAの振り付けのように全員両手を左右に振りノーサンキューのポーズ。女の子の「イヤよ」はYESのサインと同義語と心得たる筆者、6人の瞳の奥にキランと光るものを見いだしアイス売場へ直行。7本箱入りのチョコバーアイスを買って「ほいっ」とTakumiに手渡す。
会計の時にその安さに驚いた。7本入りで300円弱。
ああ〜、ハーゲンダッツを買ってあげれば良かった。
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2011年9月7日水曜日

悔恨

人に厳しく指摘されたわけではないし、誰かに正論をつきつけられてぐうの音も出なかったわけでもない。しかし自分自身の気持ちの中で、恥ずべき言動や行為、書いた文章などに後悔の念を持ったことはないだろうか。私は年に数度ある。毎年数度あるところがいつまでも大人じゃない証拠だ。
ブログは波に乗って書くとスムースに筆が運ぶけれど、更に調子に乗ってしまうと時に人の心を傷つけたりすることもある。その時点では自覚がない。しかしのちにゆっくりと自分自身にのしかかってくる。過ちを悔いる心。悔恨の情。

先日9月2日深夜に書いたブログ「ヤキモキタイフーン」がそれだ。
台風の話を思いつくまま書き散らし、調子に乗りつつも少しは被災地のことも念頭に入れながら書いたもの。しかし自分の文章の甘さに気づかされたのはこの数日間。被害は甚大で死者行方不明者の日々の報道が、徐々に私の気持ちを締め上げる。決して荒唐無稽、傍若無人な文面ではないと思うし、普通名詞としての「台風」に対する気持ちは変わらないけれど、この時期に書いたことによってひんしゅくを買っても致し方ない。やはり自分が自分を許せない気持ちに変わりなし。

思い切って全文削除。
これ以上の「釈明」は単なる「言い訳」に成り下がる。
今後は気をつけたいと思います。
下記に全文削除したのち新たに書いた文面を掲載します。


※9/3「ヤキモキタイフーン」というタイトルで、ここにブログを書きました。
台風にまつわる感想を気ままに書いたつもりでしたが、その後今回の台風被害が甚大で深刻になるにつれ、私の書いた内容の一部が不謹慎ではないかと思い至り、自身大いに恥じ入る結果となりました。
とくに第三者から何かのご指摘等があったわけではありませんが、私自身のコンプライアンス、というよりは自己規範に照らして全文削除いたします。
今回の台風で被害に遭われた方々に慎んでお見舞い申し上げます。
               2011年9月6日  少年野球「晴耕雨読」T.T


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2011年9月4日日曜日

ヒロミがヒーロー

先日「甲子園の魔物」についてここで書いた。反面「天使の微笑み」の存在もあることも。今日のブログは我がチームに天使がパタパタ舞い降りて来たお話なんである。

年間50試合前後やっていると相手チームのとんでもない子ども、いや選手に出くわすことがある。そのほとんどが大柄で主将で4番でエースなんてえのが常。オロナミンCのCMに出て来る巨人軍選手のような。今日のドジャース杯初戦の相手にもいた。井田みすぎ子ども会のI君である。エースで4番、そのピッチングフォームはほぼ文句のつけようがない。スピード・コントロール共に中学生クラス。試合前の様子やシートノックを観察すれば、自チームと比較して戦力の優劣がおおよそつかめるというもの。打撃力は未知数でも守備を見ればその輪郭くらいは掴める。守備が下手でも打撃は抜群なんていうチームはまずあり得ない。逆に言えば個々の守備がしっかりしていれば、打力もそれなりのものを持っていると想像出来るわけで。スコアラーとしての今日の予感は「うちと五分五分かまたは、うちが僅かに上か?勝つには相手投手を少ないチャンスでクリンナップが打てるかどうか」というもの。相手には失礼だけれど、バッテリーの存在が大きいチームという印象だった。

会場の西有馬小学校ドームには台風の余韻が残るどんよりした雲の流れ。ドームなのに空模様は関係ないじゃん、というツッコミはこの際毅然と無視しちゃう。
1回表井田Mの攻撃=Otoのピッチングはまずまず。1奪三振を含み三者凡退。
1回裏有馬Fの攻撃=3番Nabeが死球で出塁するもやはりスピードについていけずうちも凡退を喫す。
2回表井田M=先頭打者、4番でエースのI君が右打席に立つ。威風堂々、構えにも隙がない。好きなだけ引っ張るタイプなのだろうとの予測から、思わずFのレフト守備位置を確認する間もなく、1ボール1ストライクからの3球目。快音を残して白球は暗雲を一直線に切り裂き、5万の大観衆の待つ2階席うしろのオロナミンCの看板直撃弾の大飛球。文句なしのホームランである。せめてソロで良かったと胸をなでおろす。1:0先制された。
2回裏有馬F=5番Otoが内野安打で出塁。続く6番Hiromiの四球、盗塁、三振、Koutaのスクイズバントが決まり1:1の同点に追いつく。Hiromiは三本間に挟まれタッチアウトでチェンジ。
4回裏F=3番Nabeが2打席連続死球で出塁、盗塁×2で1アウト3塁。ファーストゴロで一塁を踏む間にNabeが本塁を突き逆転に成功。1:2とする。

これは中々いい試合になってきた。緊迫感漂うベンチの空気の中でスコアラーを務めるのは快感なんである。クールに戦況を見ながら、また子どもらの表情を観察しながら助言をしたり、檄を飛ばしたり...。
ピリピリした空気の中でグランドの視野の片隅にHiromiのママがのしのしやって来たのを確認。そうかHiromiの母は今日はお茶当番だったはず。ベンチの後ろの母軍団の中に納まり、一層の賑やかさを増す。

5回表井田M=このところのOtoの悪いクセが再発、極端なサイドスローによる制球難病が出て来た。四死球が遠因で2点を入れられノーヒットで逆転に甘んじる。スコアは3:2。ベンチの空気は再度霧に包まれる。そんな時...。
ベンチにいると後ろの声が全く耳に入らない時と、逆にスコ〜ンと聞こえる時とがある。愛すべきキャラのOnoママ、Hiromiの母の声が聞こえてきた...。
「アタシさあ〜、今朝久々にスズメを見ちゃってさ〜...」
確かに最近あんまりスズメを見かけることがなくなったなあ〜、なんて思いつつも、おっといけねえ試合はどんどん進む。

5回裏F=3:2のビハインドからなんとか相手エラーでもぎ取った1点が入り、3:3の同点に持ち込む。5回終了時点で時計を確認(フランクミュラーではない)。次の表裏で時間切れなはず。相手打線は6番からの下位打線。その裏うちはクリンナップ3番からだ。勝機はFにあり。

6回表井田M=Otoが踏ん張りなんとか4人で無失点でチェンジ。3:3同点のまま最終回裏のFの攻撃へ...。
6回裏F=ここまで内野安打1本に抑え込まれていたFの主将先頭打者Nabeのバットが火を噴いた。鮮やかなセンターオーバーの二塁打で無死2塁。暴投で3塁進塁を果たす。続く4番Taguchiは投前ゴロ。Nabeは性格的な果敢さが裏目に出て、また前回の得点スタイルの成功が頭にあったのか本塁へ突進。冷静に判断した投手I君は迷わず一塁ではなく本塁へ送球、捕手によりタッチアウト!あああ〜サヨナラのチャンスだったのに...。続くOtoはファーストゴロで二死走者3塁.....。3:3の同点の場面。

魔物はNabeの走塁に目覚めたようだった。魔物はNabeに一瞬だけ三塁スタートを早めたけれども、おそらく魔物も昨晩飲み過ぎたのだろう、すぐに興味をなくしどこかへ消えた。替わりにパタパタと舞い降りてきたのが暢気な天使である。同点で迎えた最終回ツーアウト3塁で普段おとなしい目立たないHiromiに天使がニンマリ微笑んだのである。三遊間を鋭く抜けるクリーンヒット!!逆転サヨナラゲームであった。
私はスコアブックを片手に万歳のジャンプ。すぐに後ろのHiromi母と握手。一瞬思いっきりハグしようかと思ったけれど、筆者、彼女に抱きしめ返されたら腰痛が悪化することが頭をよぎりやむなく断念。
3年生から入部の彼。今年一年でぐんと伸びた、最終学年のHiromi。
彼が一塁手になりどれだけ内野手の悪送球をすくいあげて走者アウトにし、チームを陰で支えたかしれない。もちろんその逆もあった。捕れる球もとれずなんて。でもこんな普段目立たない子が6年最後に劇的なヒーローになってくれたことが何よりも嬉しい。誰がなんと言おうともだ。
筆者がコーチとしてスコアラーとして、少年野球にかかわっている大きな理由のひとつは、こんな子の一瞬の笑顔を見たいからに他ならない。
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2011年9月3日土曜日

九者九様...でも。

昨晩のブログで「明日は雨だろう」と思って寝て、あにはからんや翌朝晴れていたりしたらガッカリきちゃう的なことを書いたら、今朝目を覚ました時は本当に焦ったわけで、風は若干強かったものの、ベッドの中の耳に届く、外を走る車の走行音に「ビチャビチャ」的な水分を含んだ音質を検出することはなく、ましてや大型台風の大暴風雨の咆哮する声が聞こえる気配は微塵(みじん)もなく、やおら目覚ましを手にとり目視すれば、長針と短針の指し示す数字の意味を理解するまでしばらく時間を要し、確かに午前五時にセットしたはずだが、と思った瞬間「やっべ!!!」と言うのと同時にガバリと跳ね起きるのと同時にトイレ洗面歯磨きを終えるのと同時に着替えと身支度とアイスコーヒーを飲み、更にこの期に及んで往生際悪く煙草を一本吸いつつ、普段は乗らないバイクにまたがりグランドへ急行してみれば、まだ打撃練習の球音を確認し出発には間に合ったと安堵のため息をもらした途端にNishimura副事務局長からの直電あり、天候不順のため試合開始時間を極力早めたいとの要請、急な雨で洗濯物を部屋に取り込むようにバタバタと子どもたちを車に詰め込んで、ターボエンジン全開一路第一公園ドームへ乗り込むやいなや、いざ試合が始まり手元のフランクミュラーじゃない、携帯時計を開いてみれば朝の8時12分......とここまでブログを書いて句読点の「。」を使用せず「、」だけでどこまで書けるかを久々に挑戦してみたけれど、さすがに息切れしてきて今日はこのへんで勘弁してやるかと思っている筆者ですが、皆さんは今日一日いかがお過ごしですか?

秋季大会決勝トーナメント戦、対野川レッドパワーズ。古豪の名にふさわしく宮前で一番古い歴史を持ち、昔からとにかく打ちまくる「強打」のチームである。
相手投手の素晴らしいピッチングもさることながら、うちが打つべき人が打てなくて、四死球で相手を助け、小さな失策の山を積み上げて...つまりは悪いときの典型的負けパターンで、結果は完敗。宮前連盟主催の公式戦は9月3日で早々と幕引きとなった。

写真その1は三塁側ベンチから見た「ランナーコーチ・三塁手・遊撃手・二塁塁審・中堅手」の惑星直列的偶然のショット。試合集合前の整列は緊張で顔がこわばり(?)、試合終了後の円陣では心なしか皆うなだれて元気がない。惨敗を喫し晴れがましい笑顔でいられるわけもないのは当然だけれど。

写真その2。いつもスコアを付けながらのベンチでの撮影なので、如何せんアングルが同じになってしまうことしきり。たまには守備のシーンも撮りたいのだけれどスコアと両立させるのは神業なんである。被写体が動くのを撮るのはスコアブックを放棄することと同義、職場放棄である。勢い固定された打者の写真くらいしか撮れないのだ。それもだいぶマンネリ化してきたわけで、思いついたのがこれ。打者がベンチのサインを確認する姿特集である。相手投手に「ちょっと待っておくれよ、今サインを見てんだから、このスキに投球したらいかんぜよ」的に片手を軽く挙げこっちを見るわけだが、昔の野球少年たちは誰もこんな仕草はしなかったように思うけれど、どうだろうか...。
よーく見ると十人十色じゃない、九者九様で普段のその子の特徴が出ていて面白い。普段のその子の特徴を知らないであろう全国の読者には面白くもなんともないであろうけれど。
でも、どの子にも共通しているのはサインを確認する目だけは真剣な眼差しであることだった。
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ヤキモキタイフーン

※9/3「ヤキモキタイフーン」というタイトルで、ここにブログを書きました。
台風にまつわる感想を気ままに書いたつもりでしたが、その後今回の台風被害が甚大で深刻になるにつれ、私の書いた内容の一部が不謹慎ではないかと思い至り、自身大いに恥じ入る結果となりました。
とくに第三者から何かのご指摘等があったわけではありませんが、私自身のコンプライアンス、というよりは自己規範に照らして全文削除いたします。
今回の台風で被害に遭われた方々に慎んでお見舞い申し上げます。
               2011年9月6日  少年野球「晴耕雨読」T.T